選職のために

対談:曙ブレーキ工業株式会社 人事統括 松井恭士様×キャリアカウンセラー齋藤めぐみ(2)

前編では、松井氏のバックボーンやご経験、曙ブレーキ工業が考えるグローバル企業の考え方などについてお話いただきました。後編では実際の組織・風土改革の様子や転職を考えられている方々へのメッセージなどをお伝えします。

2008年6月25日

選職のために対談:曙ブレーキ工業株式会社松井恭士様(2)

前編では、松井氏のバックボーンやご経験、曙ブレーキ工業が考えるグローバル企業の考え方などについてお話いただきました。後編では実際の組織・風土改革の様子や転職を考えられている方々へのメッセージなどをお伝えします。

徹底的なコスト削減と効率化

曙ブレーキ工業 人事統括 松井恭士様の写真
曙ブレーキ工業 
人事統括 松井恭士氏

齋藤:先ほどオフィスの横を歩いてきたのですが、壁がまったくない見通しの良い空間で、会議室もガラス張りで非常に風通しのよさそうな空間ですね。

松井様:もともとは、「効率化」「改善活動」の一環として、この羽生にもともとあった工場、R&D拠点、そして本社機能を集約しました。一ヵ所にいれば必要な時に必要な人がすぐ集まり話ができる、課題解決も早いなどの利点を考えたためだと思います。

齋藤:確かに移動時間のムダや、電話やメールより直接会って話をした方がはるかに効率の良いことも多いですものね。

松井様:その他に名古屋とは24時間常時接続しているテレビ会議のシステムがあります。隣の部屋にいるかのごとく話ができるため、非常に便利です。もちろん出張費の削減になりますしね。

齋藤:さすがトヨタ生産方式に習った効率化のシステムをお持ちの企業だけあり、いいカルチャーが浸透しているということですね。

松井様:そうですね。当社のAPS(Akebono Production System)はムダを徹底的に排除する改善活動です。生産性向上に対する取り組みには力を入れています。

曙ブレーキ工業

齋藤:コミュニケーションの観点についてもお聞かせください。パーテーションを外したところで、コミュニケーションが取りやすい環境になるか?というと、他社さまの事例を見ていても難しいのではないか?と思うのですが、御社ではいかがですか?

松井様:おっしゃる通りで、逆に大事な話など隣に人がいるとできないこともありますし、メールが非常に利用されている時期もありました。「これでは、いけない」と感じました。
コミュニケーション活動の取り組みとしてはコーポレートブランド推進室で行っています。2007年は基本中の基本ですが「挨拶」をきちんとするところから始めました。
「挨拶」はあたりまえと捉えがちですが、相手と会って初めに行う「存在承認」、相手を思いやる気持ちの現れです。

齋藤:効果は出ていらっしゃいますか?

松井様:最初のうちは社内での挨拶だけでしたが、受付で待たれているお客様や社外の方々にもきちんと挨拶をするため、お客様からお褒めのお言葉をいただくこともあり、徐々にいい効果が広がっています。

齋藤:それはすばらしいですね。組織風土を変革していくときに難しいことは、やはり新しい価値観に対する既存の社員の方々からの反発だと思いますが、そのあたりはいかがですか?

松井様:組織風土を変えることは難しいですね。どちらがいい悪いではなく、やはり変わることに対する違和感は誰にでもあると思います。やったことがないことを実行し、今までの自分のやり方やポリシーを考え直すすることになるケースもあるわけです。世の中は日々変化しており、企業として改革は行わなければならない。今までと同じ事をしていては、勝ち残れないのです。ですから、時間をかけでてもコミュニケーションをたくさん取り、徐々に賛同してくださる方を増やしています。

齋藤:地道に続けることが大切なのですね。

松井様:社内で自分の考え方を理解してもらうために、メルマガなどを作り部長以上の方々に配信しています。最近は少し忙しすぎてさぼり気味ですが・・・。このメールに返信をくださる方々など、理解を示してくださる方が少しずつ増えてきてはいます。

齋藤:メルマガ配信とは素敵ですね。会社をよくしたいという目的は皆さん同じなはずですので、松井さんの努力が受け入れ始めてきているのですね。

松井様:今では人事メンバーを現場に行かせて、現場で何が起きているのかコミュニケーションを意識的に取らせています。

齋藤:まさに「事件は現場で起きている!」ですね(笑)。非常に大切なことですね。

ひとつひとつのいのちを守る仕事

アボットジャパン株式会社 人事本部本部長 上保篤信様の写真

齋藤:たくさんの興味深いお話をありがとうございます。今後の御社の目指すところを教えてください。

松井様:曙ブレーキ工業が目指しているのは、グローバルでNO,1であること、ブレーキのエキスパートとして、「ブレーキのことなら曙ブレーキ工業」となることです。F1に当社のブレーキが使われたのですが、日本では初めてのことです。車としてのハイエンドですよね。大衆車の低コストのブレーキにも力を入れていきます。
その他には、車だけでなく、新幹線をはじめとする電車、フォークリフト、エレベーター、自転車に車いす、風車など様々なところにブレーキの技術が使われています。

齋藤:風車にブレーキですか???

松井様:風車の羽に風を当たるために方向を変える動作があるのですが、それを止めるためにも使われているのです。

齋藤:「ブレーキのことなら曙ブレーキ工業」というのが、よくわかる事例ですね。

松井様:動くものは止める。エンジンは故障すれば止まる。ブレーキが故障したら止まらない。動くものは止めなければならないということです。「安全」を作る仕事です。ひとつひとつのいのちを守る仕事なのです。中期経営計画 akebono New Frontier 30 にもありますが、魅力あり、効率的な組織作りを推進して、長期的にグローバル企業として、いのちを守り続けるために存在し続けなければならいのです。

齋藤:だからこそ、いい人材の採用、育成に力を入れておられるのですね。
グローバルでNO,1企業となるという御社ですが、これから転職を考えている方々へメッセージなどがあれば最後にお聞かせいただきたいと思います。

松井様:やはりグローバルというものに対する意識が高い方に来ていただきたいですね。それから年齢に関係なく若い方々でもチャレンジできる環境ですし、チャンスもたくさんあります。チャレンジしたい方に来てほしいです。

曙ブレーキ工業の写真

齋藤:A・ヒューマンでは30代の転職がターゲットの1つでもあるのですが、最近の30代に対して感じることはありますか?

松井様:そうですね。もちろん人によるとは思いますが、自らの意思やキャリアビジョンのない方が多いような気がします。打たれ弱いというか・・・。

齋藤:少し物足りなさをお感じになってらっしゃるご様子ですね。

松井様:自分自身を理解し、自分の考えを作る力、自分の意見を伝える力を持ってほしいなと思います。今、どこの国でどんなことが起きているのか、いろいろなことに興味を持ち、意見を持ってほしいですね。

齋藤:まさに中途採用の方々に求めるところは、「自分の意見を持って、伝える」といった力なのですね。

松井様:はい。曙ブレーキ工業は、変化の激しいグローバルの中で展開していく企業ですから、「新しい価値を創造する」そういうチャレンジャブルな方に仲間に加わってほしいと思います。

齋藤:本日は非常に貴重なお話、ありがとうございました。

キャリアカウンセラー齋藤めぐみの目線

埼玉県羽生市。まだ自然がたくさん残る地域に、白を基調としたガラス張りのオフィス—Akebono Crystal Wing(ACW)。すれ違う社員の方々のさわやかな挨拶。「グローバル企業」を掲げながらも、日本企業の良さもあり、インタビューをさせていただきながらその両面を感じることができました。
日本発の技術が世界を支えていく。日本人としてワクワクさせてもらえる今回のインタビューでした。

担当コンサルタント紹介

池田佳津男コンサルタント紹介