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キャリアエッセイ(キャリア塾 on site)

2008年1月28日

キャリアエッセイ:ワーキングマザーが学ぶこと

ワーキングマザーが学ぶこと

こんにちは!
A・ヒューマンキャリア塾塾長の松尾です。

本稿は、2008年に入って初めてのキャリアエッセイとなります。
今年もよろしくお願いします。

さて、今回も

「ワーク(仕事)」と「ライフ(人生)」のインテグレーション(統合)、

に関連した話を書きたいと思います。

ワークとライフの統合とは、端的に言えば、
社会人の生活のもっとも大きな部分を占める「仕事」だけでなく、
仕事以外であなたの人生を構成する要素、具体的には「家庭」や「余暇・娯楽」と
いったことについても、より充実したものとするために、
仕事とそれ以外の要素との間にうまく折り合いをつけ、適切な時間配分を行って、
整合性のあるひとつの人生にしていこうとするものだと言えます。

以上はちょっと抽象的な説明ですね。
ひらたく言えば、仕事も、家庭も、余暇・娯楽も、
みな十分に楽しめるような人生を目指しましょうということです。

前回も書きましたが、ワークとライフの統合は、
一般には「ワーク・ライフ・バランス」と言われていることです。
つまり、仕事、そしてそれ以外に人生においてやるべきこと、あるいは
やりたいことをうまくバランスを取っていくという文字通りの意味です。

おそらく、こちらのほうが「統合」という言い方よりも、
すんなり理解できるかもしれませんね。

ですので、これ以降は、

「ワーク・ライフ・バランス」

という言葉を使って話を進めていきます。


このところ、日本でも「ワーク・ライフ・バランス」に対する関心が
ますます高まってきていますよね。ご存知かと思いますが、欧米では、
ワークライフバランスの取り組みは日本よりも先行しています。
その背景には、子供を持つ働く女性の比率が、欧米では日本よりも
はるかに高いという点があります。

そして、日本でも、近年、子供ができても仕事を続ける人が
増えてきたこともあり、ワークライフバランスが注目されてきている
というわけです。

さて、欧米にしろ日本にしろ、家庭に関わること、特に「子育て」は、
出産を含め、女性の果たす役割が大きいこともあり、その分、
働く女性は大変な思いをして仕事と子育ての両立を図っています。

それだけに、子供を持つ働く女性、すなわちワーキングマザーは、
「ワーク・ライフ・バランス」を単なる理想としてではなく、
日々の現実として実践しなければならないのです。


ただ、こうして、子育てをしながら、かつ自分のキャリアも維持しようと
努力する中で、ワーキングマザーたちは様々な学びを得て、人間として
大きな成長を遂げているようです。

前回、キャリア論の権威、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、
高橋俊介氏がコーディネーターを務める「人事プロフェッショナル養成講座」
のフォローセッションのことに触れましたが、このセッションでは、
ワーキングマザーたちを集めたグループインタビューの結果についても
簡単に教えてもらうことができました。

ワーキングマザーの肉声はなかなか聞く機会が少なく、
このグループインタビューは貴重な調査データだと思うのですが、
その内容は、なるほど!と深くうなずかざるを得ないことばかり
だったのです。


ここでいくつか、興味深い結果について取り上げてみましょう。

まず、ワーキングマザーは、仕事の仕方を大きく変えざるを得なくなります。

ワーキングマザーの多くは、仕事が終わったらすぐに子供を託児所や保育所などに
迎えにいかねばならないため、気楽に残業するというわけにはいきません。
したがって、限られた時間で成果を出すことを心がけるようになるそうです。
つまり、「アウトプット志向」が高くなるということです。

また、子供は熱を出すなど体調を崩しやすいため、突然仕事を休んだり、
早退しなければならなくなります。もちろん、だからといって仕事を
停滞させるわけにはいきません。そこで、いざとなったら人に頼めるような
心積もりで仕事を取り組まざるを得ないため、仕事を抱え込んだりせず、
情報の共有化を積極的に行うようになるようになるのだそうです。

そしてまた、子供をお持ちになっていらっしゃる方はお分かりになると
思いますが、子育ては自分の思ったようにはならないもの。

目標を立て、スケジュールをかっちりこなすなんて不可能ですし、
なんらかの明確な成果を得るためにがんばるというものではない点で
仕事とは別次元の世界です。

このため、これまで仕事だけの論理で物事を取り組んでいた人も、
子育てを通じて、もっと柔軟な考え方、働き方があることを自然に
学ぶのだそうです。


ワーキングマザーは、キャリア観にも変化が起きるようです。

当初は、キャリアを着々と積み上げていき、貪欲に高みを目指すといった
キャリア観を持っていたとしても、出産・育児でキャリアが中断されるため、
むしろ、目の前の仕事を一生懸命やることで自ずと道は開かれるという
キャリア観に変化したという方がいます。

また、上記の変化と似ていますが、キャリアづくりに焦りを感じることが
なくなったと言う人もいました。他人が3年のところを私は4年かけてもよいと、
いい意味での開き直りができるようになったのです。


さらに、仕事と育児を平行して行うことでの「シナジー(相乗)効果」
もあります。

どういうことかというと、仕事でいやなことがあっても、
たとえば、育児中は赤ん坊の愛らしい笑顔が癒してくれますし、
逆に、育児の大変さも、仕事に取り組むことによって忘れることが
できるというのです。

前述したように、仕事と育児という次元がまったく異なる世界を
日々行ったりきたりすることで、うまく気分転換ができて、
どちらにもがんばれるということのようです。

またこれも大変興味深いことですが、ワーキングマザーは、
仕事を通じて自己実現を図れるため、専業主婦によく見られるように、
子供に自分の夢の全てを託してしまって過保護になりすぎることがなく、
子供を別人格として冷静に見ることができるというコメントもあります。

仕事を持っているおかげで、母子がべったりとくっつき過ぎて、
いつまえでもお互いに「子離れ」、「親離れ」ができなくて苦しむと
いう問題が回避できるということなのですね。


その他、必要に迫られた結果ではありますが、
ワーキングマザーはさまざまな仕事や生活の場面において、
うまく折り合いをつけたり、周囲の人々との巧みなコミュニケーションを
学んでいることがわかっています。

私は男性ですし、本当の意味でワーキングマザーの大変さを
理解することはできないと思うのですが、男性も、仕事だけでなく、
家庭、子育てにも積極的に関わっていくことによって、仕事だけに
没頭していたのではわからなった気づきがたくさん得られるのでは
ないでしょうか。

まあ、こんなことを書いている私も、口先だけでなく
もっと子育てに関わっていかなければならないのですが!


by 松尾順

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