キャリア塾

キャリアインタビュー:梅野勉氏

2007年12月28日

キャリアインタビュー:梅野勉氏(3)

思えば30代前半までは、一流を目指す一人のプレーヤーとして、「自分が何をやるべきか」ということが重要だったと思うのですが、秘書という仕事では「如何にして関係者に上手く仕事をやっていただけるか」というようなことを考えるようになりました。つまり、外部とのネットワークづくりが非常に重要になってきたということです。

なるほど。これまでの仕事とは視点の異なる業務を経験されたわけですね。

フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 代表取締役社長 梅野勉氏

ホンダ時代はもちろん、創業者の本田宗一郎氏に大きな影響を受けましたが、あの方は別格として(笑)、米国駐在時に直属の上司だった宗国旨英氏を挙げたいと思います。宗国氏は後にホンダの会長になられましたが、米国時代から兎に角、軸がぶれない人でした。例えば、正論はもちろん、時に常識やぶりとも思える見方を打ち出すのですが、決して妥協せずに厳しくこだわり、追い求めるのです。変わっていると思われようが少々嫌われようが一切気にしない。良い意味で「一徹さ」が持ち味の方でしたが、そんな方だからこそ、苦境に立たされても決してめげることなく、夢を実現できたと思います。このことは、本田宗一郎氏にも言えることですが。

同様に、90年代にフォルクスワーゲンAGの会長だったDr.フェルディナンド・ピエヒ氏も深く尊敬している人物の一人です。Dr.ピエヒも車が大好きな熱いカーガイであり、また、常に大きなビジョンを掲げ、その実現のためには決して妥協をしないという強い「こだわり」を持たれた方です。

私は結局、ワクワクする製品、商品というのは、先に挙げたお二方のような良い意味での「こだわり」、これを無くしては生まれないのではないかと思います。極端なまでの「こだわり」が他社との違いを生み出し、それがユーザーにとってたまらない魅力になるのではないかと思うのです。

梅野さん自身は、会社トップとしてどんなことを重視されていますか?

やはり明確なビジョンを掲げ、信念を持って強いメッセージを送ること。つまり、会社が進むべき方向性を指し示すことだと考えています。そして、最後までぶれないことですね。
私もフォルクスワーゲン グループ ジャパンの社長に就任してから、下記のような経営方針と目標を掲げ、今まで一貫して行ってきました。(具体的な目標数値は毎年設定されます)

● VGJ 経営方針 VGJ Policy

“日本の自動車市場で影響力のあるプレーヤーになること”
To become an “Influential player” in Japanese automobile market

[目標項目]
1.トップクラスの顧客満足度/再購入比率
  Top class customer satisfaction / customer retention
2.トップクラスのフランチャイズ収益性
  Top class profitable franchise
3.輸入車販売台数 No.1
  Sustainable Import No.1
4.買いたいブランド No.1
  Most aspirational brand

では、最後に読者の方にメッセージをお願いします。

フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 代表取締役社長 梅野勉氏

特に30代の方に申し上げたいのは、「俺がやらなきゃ誰がやる」というくらいの強い気概を持ち、失敗を恐れずに仕事に取り組んでもらいたいということです。チャレンジ無くして成長無し。そして、仮にも失敗してしまった場合にも、ちゃんと「説明責任」を果たさなくてはいけないと思います。
つまり、何が原因でそのような結果になったのかをきちんと自分で整理、把握することで、同じ失敗を2度と繰り返さないようにすることが重要だと思うのです。

また、「高い志(こころざし)」を持つということも大事だと思います。つまり、自分は一体どのような社会貢献をしたいのか、あるいはすべきなのかを明確にすること。これはある意味、自分自身の生き方そのものにも関わってくる話ですね。

例えば、自分だけのために、あるいは、金儲けだけのために仕事をするのはとても残念なことです。やはり、他の人の役に立つこと、喜んでもらえることが自分の喜びにつながり、その結果として、
ますます仕事に対するやる気が高まるというのが理想ではないでしょうか。

自動車業界でも「サステイナビリティ」(持続可能性)という考え方が、日を追うごとに重要視されてきました。つまり、単に売上だけを追い求めるのではなく、地球環境や地球資源にも配慮した事業展開が求められているのです。

会社、あるいは個人のいずれであっても、社会で評価されるためには「志の高さ」が必要だと思います。

(聞き手:松尾 順)