
キャリアインタビュー:越純一郎氏
キャリアインタビュー:越純一郎氏(2)
越さんも、日本興業銀行時代には、プライベート・エクイティやM&Aなど、先駆的な取り組みで業績を上げられました。そうして、常に自分自身のバリューをアップしてきたのですね。ヘッドハンターからのお誘いも多かったのでは?
越さん自身のキャリアに関する質問へ戻ります。日本興業銀行時代にはどのようなお仕事をされていたのですか?
20代の頃は、国内で融資事務、外為事務、産業調査、大蔵省への出向。30歳頃にニューヨークに赴任して、インベストメント・バンキングの企画をゼロからやりました。約5年間のニューヨーク勤務を終え、帰国してからは、引き続きインベストメント・バンキングで、M&Aも経験し、楽しく、また成果を上げました。
ところが、こうして仕事が極めて順調に行っていた30代後半のある日、実務家としてのひとつの目標はある程度達成されたと感じたのです。以来、私の新たな目標は、後進の育成になりました。当時、1年上の先輩からは「君のような人もいるんだねぇ・・・」と言われましたよ。
しかし、「後進の育成」、その一環として「教育」も入ってくるのですが、これが、私にとって世のため人のために役立つと思える、意味のある社会的使命なのです。
仕事の意義を考えるときに、いまおっしゃったような「社会的使命」、言い換えると、「仕事を通じて自分は、社会にどんな貢献がしたいのか」という視点は、キャリアデザインでも必ず指摘されることです。
一般のビジネスパーソンは、おおむね30歳前後くらいから、そうしたことに気付きはじめるのですけれども、今回の越さんのお話が、彼らの気付きを促進する刺激になるのではないかと思います。
ところで、30代のビジネスパーソンに対して、これまでの経験を踏まえて何かアドバイスをいただきたいのですが。
「自分のバリュー(価値)は毎年アップしているか?」 ということです。私たちは、常により高い価値を生み出せるように、自分を磨き続ける必要がある。 ある大手自動車会社の役員の方の話を例に挙げましょう。この方は、サラリーマンとしてはトップクラスの高い報酬と地位、名誉を手に入れた。お抱え運転手が付き、何か言えば、部下がばね仕掛けのように動いてすべてをやってくれる。しかし、彼は、そうした恵まれた役員の座を投げ打ち、外資系企業に転職をしました。なぜなら、自分の価値がどんどん下がっていくという恐怖心に耐えられなかったからです。そこで、もう一度戦いの現場に戻り、自分を磨くことを望んだというわけです。 サラリーマンは、公務員ほどではないけれど、やはりお気楽稼業です。毎日を惰性で働いているのでは、ビジネスパーソンとしての価値は上がりません。常々、自分の過去の仕事を振り返り、自分の価値は、毎年上がっているだろうかと自問すべきでしょう。
越さんも、日本興業銀行時代には、プライベート・エクイティやM&Aなど、先駆的な取り組みで業績を上げられました。そうして、常に自分自身のバリューをアップしてきたのですね。
ヘッドハンターからのお誘いも多かったのでは?
そうですね、随分声がかかりました。ニューヨークにいた頃、日本からわざわざ口説きにやってきたヘッドハンターもいましたよ。
読者の皆さんも、もしヘッドハンターからアプローチされたら積極的に会うといいと思います。ヘッドハンターに会うことには、3つのメリットがあります。
ひとつには、他社の動向がわかること。スカウトしたい人を口説くため、ヘッドハンターとしては、「この会社ではこんな取り組みをやっていて、だからあなたをこんなポジションで必要としているのだ」と詳しい話をせざるを得ない。したがって、ヘッドハンターを通じて、そうでなければ知ることのできなかった他社の戦略を知ることができるのです。
もうひとつは、あなたの現在の価値がわかること。スカウト先では、あなたにいくらの年収を払う意向があるかをヘッドハンターが教えてくれます。したがって、おのずからあなたの市場価値がわかる。
3つ目は、彼らが、あなたのキャリア形成に役に立つ、客観的なアドバイスをしてくれる場合があることです。


