
キャリアインタビュー:大塚雅樹氏
キャリアインタビュー:大塚雅樹氏(3)
若いころから、社外のネットワーキング、つまり人脈づくりに意識的にも取り組まれていたのですね。最後に読者の方にメッセージをお願いします。
若いころから、社外のネットワーキング、つまり人脈づくりに意識的にも取り組まれていたのですね。勉強も色々とされていたのでしょうか。
そうですね。若いころから、自分の給料の多くを週末のセミナー等に次ぎこんでいましたよ。会社に費用を請求できたセミナーもあったかも知れませんが、基本的に「自分投資」と考えて自腹を切っていました。
なるほど。普段からそうした努力を継続されていたからこそ、自分が魅力を感じる社内公募のチャンスがタイミングよく巡ってきたのではないかと思います。
大塚さんの場合、まさに「運を呼び寄せた」という印象を受けます。ところで、キャリア形成において影響を受けた方、尊敬する方はいらっしゃいますか?
影響を受けた方はたくさんいますが、その人そのものというより、その人の「生き方」を参考にさせていただきましたね。この人はすごいな、と感じたら、どうすればそうなれるかを相手に聞くのですよ。そして、聞いたことをそのまま真似てみるということをやってきました。
たとえば、私のスーツの胸に挿してあるポケットチーフは20代のころ、ある方の影響で始めました。周りからは、「若いうちから、なにカッコつけてるの」とか、いろいろ言われたのですけれど、ポケットチーフをしていたその人のビジネスセンスとか、トレンドを読む能力にあこがれて、あの人のような生き方をしたいという思いで真似をしたのです。
また、憧れの人から勧められたセミナーを、あの人が言うのなら間違いないと、迷わず申し込んでました。こうやって、積極的に人のいいところを真似して、貪欲に自分のものにしようとしてきたことが、自分のキャリアを磨くことに役立ったように思います。
なるほど。では、特に具体的な方をあげるとすれば・・・?
そうですね、まず新宿支店で最初の上司となった営業課長のSさんです。私が、営業マンとしての能力に自信を持てるようになったのは、Sさんのおかげです。入社早々の私は、Sさんの営業に同行させてもらって彼のノウハウを学びました。その意味で、営業マンとしての私の原点が、Sさんの部下時代にあります。
Sさんは営業マンとして超一流。顧客の求めていることが何かを的確に理解して、ポイントをついた営業ができる方でした。性格的には荒武者な豪快さがあって、お客さんにとても好かれていたんです。企画書も、キャッチコピーの名人。あまり多くを語らないけれど、顧客の心をがっちり掴んでしまうのです。
もう一人は、今もお付き合いさせていただいている尊敬する経営者の一人で、インキュベーション事業などを展開されている企業のY社長です。Y社長は、私以上に知識欲求が旺盛です。常に新しいことを学ぼうとする意欲が衰えることがない。しかも謙虚。年を重ねることにますます謙虚になっていくのです。
私は一度、「Yさんは、なぜそんなに謙虚なのですか?」と聞いたことがあります。その答えは、「ぜんぜん謙虚じゃないですよ。未熟だからですよ」というものでした。「大塚さんも、自分を未熟だと思うでしょう。だとしたら、もっと新しいことを吸収したいとか、自分よりすごい人に会って、見習いたいと思うのじゃないですか」と言われたんですね。
自分はまだまだ未熟だと思っていれば、常に他者から学ぼうとういう意識が出てきますから、自然に謙虚になるということでしょうね。では、最後に読者の方にメッセージをお願いします。
これは弊社社員にもいつも言っていることですが、細かい計画である必要はないけれど、できれば6ヶ月単位で成し遂げたい明確な目標を立て、実現に向けて努力する。もし最初6ヶ月で達成できなくても、残りの6ヶ月、つまり1年以内には必ずその目標が実現するようにがんばる。そうやって、半年、1年単位の繰り返しの中で、自分が決めた目標を着実に達成してきたという積み重ねが自分を成長させ、また自信を与えてくれると考えています。
変化の激しい今は、2-3年以上先の夢をもち、その実現のためのキャリア設計をすることはなかなか難しい時代ですよね。もちろん、将来の夢は持っていていいのですが、もっと短期の半年、1年単位で、その将来の夢に近づくための具体的な目標を立てて実現していくことが大事なのです。
漠然とした将来の夢しかもっていなければ、今日やるべきことも漠然としたままです。ついつい目先の仕事に流され、なんの目標も達成することなく日々が過ぎていくことになります。そうすると、後で振り返って「あの時こうしていれば・・・」と後悔するだけのキャリアになってしまいます。
なお、半年単位の目標は、周囲の人に公言したり、書いたりして記録に残しておけばなおいいですね。仮に、目標に到達できないことがあったとしても、目標に向かっていったという事実は本人の中に残ります。めげずに目標に立ち向かうなかで、偶然の良き出会いがあるかもしれない。「運」がやってくることだってあるわけです。
(聞き手:松尾 順)


