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キャリアデザイン基礎講座 第7回 ワーク・ライフバランス

今回は、「ワーク・ライフバランス」について解説しましょう。

「ワーク・ライフバランス」とは、文字通り、

「仕事(ワーク)と、それ以外の人生(ライフ)の要素(家庭など)をどうやってうまくバランスを取っていくか」

という大変難しいテーマです。

なぜ難しいかというと、「仕事と家庭のどちらが大事か」という二者択一の問題ではなくて、仕事も家庭も自分の人生を構成する大切な要素であり、どちらかを選ぶというのではなく「いかにうまく両者をすりあわせるか」ということに取り組まなければならないからです。

ワークとライフの統合

早速、本題に入りましょう。

私は「キャリア」について、「仕事人生のこと」という簡単な定義をしています。つまり、「仕事を通じた生き方」のことです。しかし、前述したように、自分の人生を構成するのは「仕事」だけではありません。あなたの年齢や状況に応じて、さまざまな仕事以外の務め(やるべきこと)を果たさなければなりませんよね。

ですから、キャリアを考える、つまりデザインする際には、「仕事」のことだけ考えるわけにはいきません。あなたの人生全体という視点から、仕事とそれ以外の要素をできるだけ矛盾なく、スムーズに組み合わせる必要があります。このできるだけ矛盾なくスムーズに組み合わせることを「ワークとライフの統合」と私は呼んでいます。

では、人生全体という視点で、あなたにはどんな務め(やるべきこと)があるのでしょうか?そこで、米国生まれの古典的な理論である「ライフステージ」と「ライフロール」をご紹介しましょう。

ライフステージ

ライフステージは、「キャリアの段階」とも言われます。年齢を切り口に人生の長さを以下の5段階に分け、それぞれの段階における典型的な仕事に対する取り組み方や課題が整理されています。

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第1期:成長期(0-15歳)

身体的成長、自己概念の形成が中心。興味や能力の探究が始まる。

第2期:探索期(16-25歳)

さまざまな分野の仕事やその必要条件を知る。徐々に特定の仕事に特化していき、そのための訓練を受け、その仕事に就く。

第3期:確立期(26-45歳)

ある特定の職業分野にしっかりと根を下ろす。その職業分野に貢献し、生産的に活動し、より責任のある地位を求める。

第4期:持続期(46-65歳)

現在の職業的地位を維持し、若い世代に負けないよう新しいスキルを身につける。この時期に終わりに退職に向けての計画を立てる。

第5期:衰退期(66歳~)

スローダウンし、少しずつ有給の雇用から遠ざかる。より余暇や家族、地域活動とつながりのある新しいライフスタイルを始める。

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ただ、上記のライフステージ区分は40年以上前に発表されたものです。このため、現代人、特に日本人にとっては若干ずれがあるように感じます。発表当時は、米国にしろ、日本にしろ高等教育を受けず16歳くらいで働き始める人も多かったのですが、現在は、ほとんどの人が20歳過ぎまで学校に行きますよね。また平均年齢も伸び、今の60歳過ぎの方は昔の40歳並みの活力を持っている人も多いでしょう。

ですから、おそらく、全体的に10年くらい後ろずらすと、現代日本人のライフステージに近くなるんじゃないかと私は考えています。というわけで、現代の日本人の感覚に合っていると思われる「修正ライフステージ」の年齢区分は次のようになります(松尾独自の修正です)

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第1期:成長期(0-25歳)

身体的成長、自己概念の形成が中心。興味や能力の探究が始まる。

第2期:探索期(26-35歳)

さまざまな分野の仕事やその必要条件を知る。徐々に特定の仕事に特化していき、そのための訓練を受け、その仕事に就く。

第3期:確立期(36-55歳)

ある特定の職業分野にしっかりと根を下ろす。その職業分野に貢献し、生産的に活動し、より責任のある地位を求める。

第4期:持続期(56-75歳)

現在の職業的地位を維持し、若い世代に負けないよう新しいスキルを身につける。この時期に終わりに退職に向けての計画を立てる。

第5期:衰退期(76歳~)

スローダウンし、少しずつ有給の雇用から遠ざかる。より余暇や家族、地域活動とつながりのある新しいライフスタイルを始める。

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あなたは今、年齢的にはどの段階にいますか。そして、上記に書かれているような生き方、課題を意識していますか。

このキャリアデザイン基礎講座は、主に30歳前後のキャリアの節目にいらっしゃる方を対象としています。つまり、まだ「探索期」にいて、さまざまな仕事にチャレンジし、またキャリアを振り返りつつ、自分にとっての天職、適職を見つけようとがんばっている時期になりますね。

ライフロール

人生全体の視点から見たもうひとつの切り口は、「ライフロール」です。「キャリアの役割」と呼ばれます。やはり米国生まれの古典的理論では、次の8つの役割があることが示されています。

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1 息子・娘 ~ 親との関係において生じる役割

2 学生 ~ 以前は社会人になれば「学生」の役割は終了しましたが、現在は働きながらあるいはいったん中断して学生になる人も多くなりましたね。

3 職業人 ~ キャリアにおける中心的役割

4 配偶者 ~ 結婚相手との関係において生じる役割。正確に言えば、結婚しているかどうかではなく、生活をともにしているパートナーとの関係において発生する役割です。

5 ホームメーカー ~ 住む場所をメンテナンスする役割。主に女性が担ってきた役割ではありますが、もちろん男性が果たすべき役割もいろいろとありますよね。

6 親 ~ 子供ができてから、子供との関係において生じる役割です。

7 余暇を楽しむ人 ~ 旅行やスポーツ、読書などを楽しむという役割(役割という言い方は不自然ですが)

8 市民 ~ 元々の理論では、地域社会への貢献のために無給のボランティア活動を行う役割のこと。米国らしい役割ですが、日本においては、町内会のメンバーとしての公園の清掃などの活動が該当すると考えればいいでしょう。

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こうやってライフロールを並べると、人というものは、実に多彩な役割を演じながら人生を生きることがわかりますよね。

ただ、あなた自身を振り返ってみた時に、あまりにも仕事に没頭しすぎている(あるいはそうならざるをえない)ために、職業人以外の役割をまったく果たしていないと、愕然とされる方もいらっしゃるでしょう。

社会人にとって、「職業人」としての役割が最も重要であり、多くの時間を割くことになるのはやむを得ないと思います。しかし、それ以外の役割をないがしろにしたままの仕事一筋な人生は、あまりにも平坦な生き方ではないでしょうか。

おそらく、仕事に夢中になっている時は感じないのですが、年を取ってから若いころを振り返った時に、もう少し仕事以外のこともやっとけばよかったと後悔するかも知れませんよ。

また、そもそも、これからの仕事では斬新な発想やアイディアが高い価値を生み出すのですが、そうした斬新な発想やアイディアは、仕事だけの毎日からは決して生まれてきません。むしろ、上記に示した様々な役割をやる中で面白いヒントが得られることも多いのです。

ですから、職業人以外の役割にも目を向け、それぞれの役割において、自分はどんな務めを果たすべきか、また果たしたいかをじっくり考えてみる機会を持つことをお勧めします。仕事オンリーの毎日は、決して「幸せなキャリア」にはつながりません。

仕事を中心としながらも、様々な他の活動も楽しむふくらみのあるキャリア、人生を設計・計画、実行することが望ましいのではないでしょうか。

ただし、仕事も家庭も、遊びもなんでも完璧にやろうとするのは避けましょう。
肉体的、精神的に参ってしまうかもしれません。適当に手を抜いて、またメリハリをつけて。

ライフ・キャリアバランスを考えるための4つのテーマ

さて、人生全体という視点でキャリアを考え、あなたの人生の様々な要素の統合を図るために取り組んで欲しいのが、次の4つのテーマについてのあなたの「持論」(自論)を書き出すことです。

「持論」に含まれるのは、5年先、あるいは10年後など、将来にあなたがこうありたいと考える姿(理想像)や、具体的な目標、あるいは、大切にしたいこと(価値観)、そして、理想像や具体的な目標に近づくためにやるべきこと、やりたいこと。

その上で、この4つの要素をうまく組み合わせるためのキャリアデザインに落としこんでいきましょう。

1 仕事

仕事においてのあなたの将来の理想像、目標、価値観、具体的な行動はなんですか?

2 余暇

純粋な楽しみのために、あなたはどんなことに時間を使いたいですか?

3 家庭

家庭(配偶者や子供、あるいは親兄弟親戚)とどんな家庭生活を送りたいですか?

4 学習

身体の成長は、10代で止まってしまいますが、知性や心の成長は大人になってからも続きます。
人としての成長のために、どんな学びに取り組みますか。(仕事を通じても、あなたは大きく成長することができますが、仕事以外での学び(資格を目指したり、学校に行ったり)も、可能性をひろげるために有益です。


*ライフステージ、ライフロールについての出典:キャリアカウンセラー養成講座(日本マンパワー)


(文責)松尾順

2007年3月8日